不思議な作家 -とっぴんぱらりの風太郎
万城目さんは不思議な作家だ。
ホルモォォォ~と叫んだり、
マドレーヌ夫人と優雅にお話ししたりしたかと思えば、
こんな壮大な物語を書いてしまったりする。
読み終わった感想をきちんとまとめておくには、まだ心の整理がついていない感じ。
でも、ほっておくとこのまま感じたことが薄らいでしまいそうなので、とりとめない形だけれど、備忘録的に書いとこう。
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いつものようにお気楽に、わくわくしながらページをめくったのだけれど、
物語の始まりから、なんとなくいつものそれとは違った、暗く寒い雰囲気が漂う。
落ちこぼれのニート忍者のだらだらした暮らしがいつまで続くんだろうと読み進めていたら、気が付いたら大きな時代の流れに飲み込まれて、私自身も溺れてしまいそうな感覚になってしまった。
最初に読み終わった印象は、少しの希望の光はありつつも決してハッピーエンドというわけではなかった。
けれど、風太郎の気持ちはどうだったのだろうと何度も何度も反芻していて、何となく不意に、ふと、やっぱりハッピーエンドなのかも、と思いなおした。
親も知らず、柘植屋敷で育ち、できそこないの忍として故郷を追われ、それでも国の都合や世の中の流れに翻弄され続けた彼にとっては、あの赤ちゃんは本当に大切な希望の光だったのかもしれない。
本来の役目が時代の流れとともに消えていき、戦に巻き込まれてたくさんの命を奪うことになった彼は、芥下の言葉を自分に置き換えていたのかもしれない。
芥下が自分の親を殺した相手に助けられたように、自分も何誰かに助けられていることに気付いたのかもしれない。
伊賀を出てからひとりで生きているように考えていた風太郎だけれど、結果的に萬屋・瓢六の人々や黒弓・蝉・常世や百に助けられて生きていたんだろうし。
そして、そうやって差しのべられてきた手を今度はあの赤ちゃんに返してあげる番だったのかもしれない。
どんな死に方をしても、赤ちゃんを助け出したということだけで十分「とっぴんぱらりの、ぷう」だったんだろうな。
「秋の夜長は読書とブログ」 。
お題をもとに初めてブログ書いてみた。
いつも気ままに書いているから、お題に答えるのって難しいな。
大喜利とか得意な人、尊敬する。